介護の現場では、日常生活ではあまり耳にしない特有の専門用語がたくさん使われています。身体介護を担当する介護職の場合は、臥位や移乗といった言葉を使う機会が多いようです。臥位とは寝ている状態のことを意味し、仰向けなら仰臥位、横向きなら側臥位といいます。施設の入居者が寝たきり状態の場合、床ずれを防ぐために数時間おきに体位変換をするのが基本です。このとき、仰臥位から側臥位へ体位変換をしてください、と指示されることもあるでしょう。移乗とは、ベッドから車椅子へ乗り移るなど、今いる場所から別の場所へ身体を移す動作を意味します。移乗介助によって、自力では移動できない人を介護職スタッフがサポートしているのです。
他には、カタカナ語や略称の専門用語も使われます。例えばアセスメントは、ケアプランの作成に必須の最初のプロセスです。利用者の希望や心身状態などを詳細に聞き取って、必要な介護サービスを提案したり、課題を分析したりします。
それから、QOLやADLといった略称も、福祉や医療の現場では頻繁に登場します。QOLとはQuality of lifeの略称であり、生活の質と訳されるのが一般的でしょう。身体的なサポートだけでなく、人間らしく生きがいを持って生活することが大切だという世界共通の基本概念です。ADLはActivities of Daily Livingの略称で、日常生活動作と訳します。食事や排泄、移動動作など、日常生活に必要な基本動作のことで、高齢者の自立度を表す際に使われたりします。