介護職に就いたとき、日ごろ聞いたことがない専門用語に戸惑う人もいるでしょう。「褥瘡」もその中の一つ。「じょくそう」と読み、医療用語で「床ずれ」のことを指します。高齢や身体麻痺などの病気で寝たきりになってしまうと、普通は自然にできている寝返りが自分の力ではできなくなってしまいます。すると、寝ている間に背中やおしりなどに体重がのしかかり、同じ箇所が長時間圧迫されて血行不良が起こります。また、ベッド上を移動させる際などに生じる摩擦などの影響で起こることもあります。痛がる箇所を見てあげると、皮膚が赤くなったり、傷ができていたり、ただれたりしています。これが床ずれ、褥瘡です。

褥瘡の原因は、血流の悪化から、栄養や酸素が体中を駆け巡ることができなくなり、皮膚組織が壊死する状態になってしまうことです。特に栄養状態が悪いとき、皮膚の状態が良くないときにできやすくなります。この褥瘡を放っておくと細菌感染症や敗血症など重い合併症を併発することがあるので、介護する側は特に注意が必要です。

介護に取り組む際、褥瘡に関する知識を身につけるとともに、寝たきりの方であれば誰でも褥瘡になる可能性があることを頭に入れておくことで、予防と早期発見に努めることができるでしょう。痛みを口にできる方は良いのですが、自分の意思を言葉にできない方もいるのでよく観察し、体位交換をこまめに行い、排泄管理は的確に行って皮膚を清潔に保つようにケアしてあげることが肝心です。